Part 03

ルール・位置編

球場で何を見るか

ITEM 16〜22

Where to stand, what to see

  • 読了目安 約16分
  • 原書 p.40〜53

16コーチャーのルール

コーチャーと走者の接触で走者はアウト

これはよくあるんです。コーチャーのポジショニングがよくないということもありますが、基本的に、走者が動いているのに対し、コーチャーは「静」ではいけないんですね。「動」に対して「動」で対応しないと接触事故が起こる。

走者が動いているならば、こちらも動く。引きながら指示を出すとか。そうすれば走者がもし自分の方に来たとしてもかわせる。動きに対しては、動きで止める、シンクロさせることが大事なんです。だいたい接触事故が起こるのは、走者が動いているのに、コーチャーが止まっているときです。コーチャーが動いていれば走者との接触をかわせるんですね。

コーチャーと相手野手との接触で守備妨害

ファウルフライが上がったときに、捕球しようとした三塁手とコーチャーが接触してしまう。これは守備妨害を取られます。コーチャーズボックスに立ってて、まさか守備妨害を取られると思ってないコーチャーが多いんです。レベルの高い国際試合でも時々そういうことが起きてしまう。ファウルフライの扱いに関しては、一塁コーチャーも三塁コーチャーも、守備妨害を取られる可能性があることを想定しておかなければいけません。

コーチャーズボックスは約6m×3m

ルールブックには、コーチャーズボックスのサイズは約6m×3mとされています。ただし、その中にいなければいけないということではないんです。走者、相手の野手と接触をしないようにしながら、走者に指示を出していくんです。

コーチャーは打球、走者、相手野手が一番見やすいポジションに移動します。

ただ、走者が動いているときに、コーチャーの指示動作が止まっていては、走者がその後の判断に迷ってしまいます。動いている走者に対しては、コーチャーも手足に動きを入れて指示を出すべきです。走者とコーチャーとはシンクロしていないといけないのです。

走者が三本間にはさまれた場合

走者二、三塁や満塁など、複数走者がいる場合は気をつけなければいけないことがあります。複数走者がいて、三塁走者が三本間で挟まれるケース。守備側が走者を三塁ベースまで追い込んだときに、後ろの走者も三塁ベース上にいてしまうことがあります。前の走者に優先権があるので、ダブルタッチされたときにアウトになるのは後ろの走者です。ところが前の走者が塁から離れてしまってタッチされて、ダブルプレーになってしまうケースがあるんです。こういうときは、三塁コーチャーが前の走者に、塁を離れないよう指示をしなければいけません。当たり前のことなのですが、意外とこういうことが徹底できていなくて、甲子園でもこういうことが起こってしまうものです。逆に言えば、守備側はこれを頭に入れて、ダブルプレーを狙っていきましょう。

17球場で確認すべきこと

ファウルグラウンドの大きさ

初めて試合をする球場、グラウンドに着いたら、まずファウルグラウンドの大きさを確認しておきましょう。公営球場でもファウルグラウンドの形がいびつだったり小さかったり、それぞれ違うんです。さらにはファウルグラウンドにブルペンのマウンドがあるかどうか。そのマウンドが外野寄りにあったり、ベンチに近いところにあったり、まちまちなんです。神宮球場にはファウルグラウンドの外野寄りにブルペンのマウンドがありますね。そういうファウルグラウンドの状況を確認しておくことが必要です。

ファウルグラウンドがいびつな形だと、ボールを捕ってもでこぼこしていて返球しづらいケースがある。そうすると、タッチアップの場合、普通だったらホームを狙わない位置でも、返球しづらいところへファウルが飛んだらホームを狙わせます。

ファウルグラウンドの作り、ブルペンのマウンドの高さ、雑草が生えているとか、芝生の継ぎ目があるとか、そういうところを確認しておきましょう。

太陽の光、風

太陽の位置、風の強さや方向。これも確認しておく必要があります。ライナー性の打球が飛んだときなんかは、太陽の光が目に入って外野手がボールを見失ってしまうことがある。風の強い日は、高いフライを打つと風に流されますから、野手が捕れなかったりする。そんなときはすかさずゴー。太陽の光、風によってミスが起こる可能性が出てくるんです。

甲子園球場では浜風がフライに影響しますし、神宮球場では太陽の位置を気にしないといけない。ZOZOマリンスタジアムは風の強い日が多いです。この自然環境の違いが、1点を巡る攻防の中で効いてくるんです。こういうところをコーチャーが見ておくんです。風が強いんだったら、内野手と外野手の中間のところでポトンと落ちるケースがあります。だから、打者走者はフライを打ってしまっても全力疾走していれば、野手が落としたら二塁、三塁まで行けることだってあるんです。

明治大学野球部の先輩から聞いた伝説ですが、近鉄バファローズで活躍した大石大二郎さんという足の速い選手がいました。亜細亜大時代、大石さんのプレーを見たことがあるんですけど、大石さんはパワーがあるので高い内野フライを打ち上げるんです。大石さんは内野フライでも諦めないですごいスピードで疾走しました。そうしたら野手が落球して、大石さんは三塁を陥れました。内野フライが三塁打になってしまうんですよ。「内野フライを打っちゃった……」と諦めず果敢に全力疾走したことで、三塁まで行くことができた。

投手からしたら、内野フライに打ち取ったと思ったところが三塁打になってしまうわけですから、これは大きなダメージですよ。強い打球を打たれて外野の頭を越えられての三塁打よりも、内野フライで打ち取ったと思ったのがエラーで三塁打になってしまったときの方が、投手にとってはダメージが大きいものです。だから打者走者は内野フライだと思っても全力の走塁をしなければいけない。守ってる野手にとっても、打者走者がすごい勢いで走っていたら、「これは落としたら二塁まで行かれるな」と身体に力が入ってしまうものです。相手野手にプレッシャーをかけることができるんです。

野球はシンプルにまず、とにかくどんな形でも一塁に出る確率を高めることが大事。太陽の光や風とは関係ありませんが、振り逃げだってそうです。投手は「三振を取った」と思っているのに、振り逃げで一塁に行かれたら、ヒットを打たれたのと同じ結果になるわけですから、ダメージが大きいです。

18監督のサインを走者と確認

プロ野球のコーチャーと高校野球、大学野球のコーチャーには大きな違いがあります。プロ野球のコーチャーの場合は、監督の出したサインを三塁コーチャーが出すという作業があるんですね。要は監督がサインを出して、それを三塁コーチャーが打者や走者に伝える。

でも高校野球の場合は、三塁コーチャーが打者にサインを出すということは少ないです。ただ、三塁コーチャーは走者にサインの確認をするという仕事があるんです。

例えば、走者二塁で送りバントだね、走者三塁でスクイズだね、走者一、二塁でダブルスチールだねと、重要な局面でサインが出たとします。コーチャーはそのとき、走者とアイコンタクトするなり、ジェスチャーを使うなりして「サインが出てるね」と確認するんです。

監督からのサインを走者が見落としているとき、「おや?」みたいな顔をしているとき、これはちょっと迷っているな、というのが分かったときは、コーチャーが何か理由をつけてタイムをかけて確認する。ここが大事なところです。

19走者の足のコンディションを確認

夏の気温が年々上がってきています。その中で大会を戦わなければいけないわけですから、試合中に足がつってしまうケースが近年、多々見られます。試合中に瞬時に起こるケースがありますが、コーチャーは、そこにも注意を向けて、走者の身体の状態、特に足の状態を絶えず観察しておかなくてはいけません。

選手が守備から戻って来るときや打席に向かうとき、足が重そうだったり引きずっていたりしたら、何かあるんじゃないかなと。

俊足の選手が、いつも必ずそのスピードで走れるとは限らないんです。塁上で、何か異常があるのかな、何かアクシデントがあったのかなと思うときは、タイムを取ってでも本人に聞いて確認した方がよいです。

出塁してリードを取り、牽制で戻るときにアクシデントが起きたり。野手として守っている際、ボールを追って全力疾走しているときにアクシデントが起きたり。いくつものケースが考えられます。

あの選手は二塁から6秒5のタイムで本塁に戻って来られる。それならば、ライト前への安打ならジャストでもGOだ。そう思っても、それは絶対じゃないんです。チームイチの俊足選手であっても、足を痛めていたために、二塁から本塁まで7秒5かかってしまい本塁でタッチアウト、チャンスが潰えた。そんなことがあり得るんです。私自身も高校生のとき、痛い経験をして学びました。「あの選手は俊足だから」と決めつけず、アクシデントがあるかもしれないということに絶えず注意していないといけない。

20三塁コーチャーの位置

走者二塁の場合

セーフティーリードの位置に関しては、一塁コーチャーに任せます。三塁コーチャーの場合は、二塁走者を本塁へかえす、そこを支援するという役割があります。そのためにどこへ立つのが一番よいのか。三塁コーチャーは走者、ボール、外野手の3つを同時に見なければいけません。そのためには、まずはコーチャーズボックスの一番本塁寄りにいるのが一番見えるんですね。もしくはコーチャーズボックスの真ん中。真ん中よりも本塁寄りの方が、全体的に打球が見やすいです。

Position

走者二塁のときの三塁コーチャーの立ち位置

三塁コーチャーは走者・ボール・外野手の3つを同時に見る。コーチャーズボックスの一番本塁寄りに立つのが一番見える。

本塁 一塁 二塁 三塁 三塁コーチャー二塁走者
  • 二塁走者
  • 三塁コーチャー
  • 打球(レフト前)
原書 p.46 の図を再構成Figure
図の内容をテキストで読む
  • タイトル:走者二塁のときの三塁コーチャーの立ち位置
  • 図:レフト前への打球。二塁走者が三塁へ向かう。三塁コーチャーはコーチャーズボックスの一番本塁寄りに立つ。
  • 走者二塁の場合、三塁コーチャーは走者、ボール、外野手の3つを同時に見なければならない。コーチャーズボックスの一番本塁寄りに立つのがよい。

走者一、二塁の場合

ただ、その位置にいた場合、走者一、二塁だと不都合が生じてきます。走ってきた二塁走者に動きながら指示を出しますから、コーチャーも走者と一緒に本塁の方へ移動してしまうんですね。そうすると、三塁を目指して全力で走って来る一塁走者への指示が間に合わなくなる、戻れなくなってしまうことがあるんです。

ですので、私はこういうふうに教えています。走者二塁の場合、三塁コーチャーは一度三塁ベース側に詰めるんです。一瞬、三塁ベースの方へ詰めておいて、ボール、二塁走者、外野手の3つが見えるところに入ります。そして、二塁走者とシンクロしながら、回す。5mぐらい走ることになりますけれど、そこでまた三塁ベースの方へもどって、一塁走者へ指示を出す。

回しておいてすぐ戻れば、一塁走者への指示もできる。間に合うんです。

複数の走者へ指示を出すときは、声で指示をしてはいけません。もしその声が複数の走者に聞こえてしまったら、指示が混乱してしまいますから。だから、声じゃなくてジェスチャーで指示を出す。これが大事です。

Movement

走者一、二塁のときの三塁コーチャーの動き

本塁寄りに立ち、打った瞬間に三塁ベース方向へ詰める。二塁走者とシンクロしながら回し、すぐ三塁ベース方向へ戻って一塁走者へ指示を出す。複数走者への指示は声ではなくジェスチャーで。

本塁 一塁 二塁 三塁 ①本塁寄り→②三塁側へ詰める→③戻る
  • 二塁走者・一塁走者
  • 三塁コーチャー(往復)
  • 打球
原書 p.47 の図を再構成Figure
図の内容をテキストで読む
  • タイトル:走者一、二塁のときの三塁コーチャーの動き
  • 図:三塁コーチャーがコーチャーズボックスの本塁寄りから三塁ベース方向へ詰め、二塁走者を回したあと三塁ベース方向へ戻る(往復の矢印)。
  • 走者二塁の場合、三塁コーチャーはコーチャーズボックスの本塁寄りに立ち、打者が打った瞬間、三塁ベース方向へ詰め、ボール、二塁走者、外野手の3つが見えるところに入る。二塁走者とシンクロしながら回し、それから三塁ベース方向へすぐ戻って一塁走者へ指示を出す。

21一塁コーチャーの位置

走者なしの場合

走者がいない場合、一塁コーチャーは打者へ指示を出すことが必要になりますので、原則として、コーチャーズボックスの一番打者寄りの位置に立ちます。

どの球種を狙っていこうとか、こういうスイングでいこうとか、打者寄りの位置に立って打者に指示します。

打者が安打性の打球を放った場合は、打者寄りの位置からライト寄りの位置まで素早く移動し、打者走者が駆け抜けるところで、二塁へ行くかどうかの指示をしなければいけません。

Position

一塁コーチャーの立ち位置

走者なしのときはコーチャーズボックスの一番打者寄りに立って打者に指示。走者一塁のときは走者に近いライト寄り、投手と走者の両方が見える位置に立つ。

本塁 一塁 二塁 三塁 走者なし:打者寄り走者一塁:ライト寄り
  • 一塁コーチャー(走者なし)
  • 一塁コーチャー(走者一塁)
  • 打者
原書 p.48 の図を再構成Figure
図の内容をテキストで読む
  • タイトル:走者なしのときの一塁コーチャーの立ち位置
  • 図:一塁コーチャーがコーチャーズボックスの一番打者寄り(本塁側)に立つ。
  • 走者がいない場合、一塁コーチャーはコーチャーズボックスの一番打者寄りに立ち、打者に指示を出していく。走者一塁の場合は、走者に近いところ、コーチャーズボックスのライト寄り、投手と走者両方が見える位置に立つ。

走者一塁の場合

走者が一塁に出た場合は、走者に近いところ、コーチャーズボックスのライト寄りのところに立ちます。ただし、牽制球がありますから、投手と走者、両方が見える位置に立たないといけません。牽制がありそうなときは大きな声で走者に指示を出してあげましょう。

走者二塁の場合

二塁走者には、第1リードの位置を示してあげましょう。例えばチームで決めている第1リードが右足5mだったら、コーチャーも一塁ベースから5mにあたる位置に立って、二塁走者に5mの位置を示してあげるんです。

そして第2リード、例えばこれが右足3.5mであれば、その位置も二塁走者に示してあげたい。打者が打った瞬間に、5mの位置からさらに3.5m左へ動いて、一塁ベースから8.5mのところまで動くのです。

Lead

走者二塁のときの一塁コーチャーの動き

一塁コーチャーは二塁走者と正対する。第1リードが5mなら一塁ベースから5mの位置に立って示し、第2リードが3.5mなら打者が打った瞬間に左へ3.5m動いて示してみせる。

本塁 一塁 二塁 三塁 第1リード 5m第2リード +3.5m一塁から5m→8.5m
  • 二塁走者(第1・第2リード)
  • 一塁コーチャー(5m→8.5m)
  • 正対の対応線
原書 p.49 の図を再構成Figure
図の内容をテキストで読む
  • タイトル:走者二塁のときの一塁コーチャーの動き
  • 図:二塁走者の第1リード5m・第2リード3.5m(二塁ベースから)と、一塁コーチャーの一塁ベースから5m・さらに3.5mの移動が、点線で正対して対応している。
  • 走者二塁の場合、一塁コーチャーは二塁走者と正対する。例えばチームで決めている第1リードが5mならば、一塁ベースから5mの位置に立ってその位置を二塁走者に示してみせる。第2リードが3.5mと決めているならば、打者が打った瞬間に左に3.5m動き、その位置を二塁走者に示してみせる。

複数走者がいる場合

一塁コーチャーは、一塁走者と二塁走者の両方に指示を送らなければいけません。一塁走者にはまず第1リードの確認と、一塁手がベースについている場合は牽制の指示も出さなければいけない。普段は一塁手が入っていないんだけれど、牽制のとき、急に入って来るケースがあります。リードが大きかったり、ぼーっとしていたら牽制で刺されますので、気をつけないといけません。

また、走者二塁の場合と同じように、二塁走者には第1、第2リードの位置を示してあげることが必要です。

22コーチャーのケーススタディー

単独走者の場合〜走者一塁

一塁走者が出た場合、三塁コーチャーは、まだ何もしなくていい、というわけではありません。三塁コーチャーズボックスから一塁走者への指示も必要なんです。

なぜなら、走者とコーチャーとはシンクロしていなくてはいけないからです。

例えば走者一塁でライト前に打球が飛んだとします。全力で走っている一塁走者は、ライト方向への打球を見ることができないので、二塁でストップするか三塁まで行くかは三塁コーチャーに判断が委ねられます。この場合は早めに指示を出してあげないと、右翼手からの送球で走者はアウトになってしまいます。早めに判断し指示を出すために、一塁走者と三塁コーチャーは最初からつながっていないといけません。

もし三塁コーチャーがぼんやりしていて、指示が0.2秒遅れたとします。全力で走って来る走者にとって、0.2秒遅れというのは1m40cmの遅れになります。ギリギリでのアウト、セーフに大きく響いています。だから、ライトに飛んだら三塁までくるぞとか、そういう意思を早くから走者に伝えておくこと。これが大事です。

一塁走者と投手をつないだ延長線上に立って、指示を出していきます。

「打ったら回すからな!準備しとけ!」と声と動作で伝えます。

そういう声が相手の投手の耳に入れば、相手投手にプレッシャーをかけることにもなります。

単独走者の場合〜走者二塁

一塁コーチャーは二塁走者の第1リードの基準を示してあげるようにする。チームで第1リードを右足5mと決めているならば、一塁コーチャーは一塁ベースから5m左のところに立って、第1リードの基準を走者に示してあげましょう。そして、第2リード、チームで右足3.5mと決めているようであれば、打者が打った瞬間にそこから3.5m左に動いて、第2リードの基準を示してあげましょう。外野への安打のとき、外野からホームへの送球間に打者走者の進塁への指示も一塁コーチャーの役割です。

走者二塁で安打が出たときは、アウトカウントによって変わることもありますが、原則は本塁へゴーなんだよと、点が入りそうなときは全力でゴーなんだよという意識を走者、コーチャーともに持っておくことが必要です。

三塁コーチャーは、止めるときだけ動く。回すときではなく、止めるときに稼働するというやり方もあります。コーチャーが何もしないときはゴー。止めるときだけコーチャーが出てくるんです。

単独走者の場合〜走者三塁

無死三塁、一死三塁のときにはタッチアップがあります。外野フライの場合は相手野手もタッチアップがあると分かっていますが、内野フライやファウルフライのときは、守っている野手も油断していることが結構あります。「この当たりでタッチアップはないだろう」と。相手がそう思って油断しているところを突いていきます。

外野フライも内野フライもファウルフライも、全部タッチアップがあるぞと。特にファウルフライは全部タッチアップで次の塁を狙う姿勢でいきましょう。「ファウルフライ=全球タッチアップ」ぐらいの意識を持っているのがよいです。走者も一塁コーチャーも三塁コーチャーも、そういう意識を持っていなければいけません。まさか来ないだろう、と相手野手が思っているところを狙う。これはあらかじめ打ち合わせをしておきましょう。

例えば走者一、三塁、捕手へのファウルフライ。一塁走者がタッチアップで二塁へ走り、挟まれている間に三塁走者が生還、ということも狙えます。

特にファウルフライの場合、走者が進塁できる手段はタッチアップしかないわけですから、条件付きで、このケースは行こうということを決めておくことが必要です。

三塁からのタッチアップに関しては、三塁走者から見える位置がほとんどですから、自分の判断が優先されます。ただ、止めるという判断はコーチャーがやらないといけません。ボールと走者の両方を見られる位置に立って判断します。

複数走者の場合〜走者一、二塁

複数走者がいる場合は、後ろの走者がいつも不安定になるということを頭に入れておかなければいけません。後ろの走者は、条件付きで走らなければならないわけです。前の走者が止まっていたら、後ろの走者は行けないわけです。前の走者によって左右されてしまう。だから、不安定な後ろの走者には早く指示を出してあげないといけない。

だから複数走者の場合は、後ろの走者への指示をより強く意識していないといけない。前の走者への指示を出したら、後ろの走者へすぐ切り替える。これを0.1秒で切り替えるのと0.2秒で切り替えるのでは、1m以上違ってくるわけです。

走者一、二塁のときに打者が二塁打を打ちました。二塁走者はホームへ行きます。一塁走者は三塁で止まるのか、ホームを突くのか。

走者一、二塁でセンター前ヒット、レフト前ヒットが出ました。二塁走者はホームに生還。一塁走者は二塁ストップなのか、三塁まで行くのか。

三塁コーチャーは二塁走者に指示を出しておいて、すぐ一塁走者に指示をしなければいけません。その指示が遅れたばかりに、三塁やホームでアウトになってしまって貴重なチャンスを潰してしまうこともあるんです。ともすると、前の走者に集中しがちになってしまいますが、複数走者がいる場合は、不安定な後ろの走者を気にかけることが大事です。

複数走者の場合〜満塁

満塁の場合はよく言われるように、ライナーバックとかトリプルプレーなんかが起こりやすいですから、ライナーに対する警戒が必要です。とにかく併殺を防ぐことに注意しなければいけません。

どの走者にも、ゴロゴー、低い打球のときは行かせる。ライナーのときは戻る。

あとは、ファンブルゴー。相手捕手がファンブルした場合に、三塁走者はホームを突く。ノーヒットで1点をもぎ取れるチャンスですから。

一塁コーチャー、三塁コーチャーは、とにかくローボールに対してすぐ反応して指示を出せるようにしておきましょう。極端に言えば球の角度を見て、ワンバウンドになる場合にはスタートを切らせる。ゴロゴーのときはホームに入らせる。そういう基本的なところを普段の練習から徹底していくことが大事です。